値段
価格は新品で10万円~30万円くらいです。楽器はその価格に比例して性能がアップします。
初心者こそ可能な限り良い楽器を持つのが望ましいので、予算に応じて良い一本が手に入るようにサポートいたします。
中古品から選ぶ方法もあります。
購入方法
信頼のおける専門店で、専門家に選んでもらうのがベストです。
メンテナンス
日頃の練習量にもよりますが、5年に一度くらいオーバーホールすることをお勧めします。
タンポ交換(一ヶ所800円くらい)は時々必要です。
備品
リード(楽器と別売り)。
リードはクラリネットの発音体です。リードを楽器につけることにより音が出ます。
楽器自体は他の楽器に比べて安価なのですが、リードにお金がかかります。
その他、片付ける時に使用するスワブとクロスが必要です。
クラリネットは1700年頃ドイツ・ニュルンベルクのヨハン・クリストラ・デンナー(1655~1707)によってフランスのシャリュモーという古楽器を改良したものが始まりとされています。
その後、多くの人々によって改良され、現在ではこのデンナーのクラリネットからの改良版であるエーラーシステムと、ビュッフェとクローゼのベームシステムが世界中で使用されています。
現在最も多く使われているのはベーム式クラリネットです。(それにしてもデンナーさんはすごい人でんなー。※関西弁です)
一般に「クラリネット」と言えばB♭クラリネットです。ソプラノ・クラリネットとも呼ばれ、通称ベー管(ベーかん)とも呼ばれます。
記譜上の「ド」が実音(ピアノの音)の「♭シ」になります。
実音の♭シから音階がスタートしますので、「ドレミファソラシ」と吹くと出てくる音は実音の「♭シドレ♭ミファソラ」となります。
他にベー管よりも完全4度高いE♭クラリネット(通称エスクラ)、ベー管よりも半音低いAクラリネット(通称アー管)、ベー管よりも1オクターブ低いバス・クラリネット(通称バスクラ)、ベー管よりも完全4度低いF管のバセットホルンなどがあります。
オーケストラや吹奏楽、ジャズで用いられるのは主にベー管ですので、まずベー管から練習をします。
オーケストラでベー管の次か同じくらい活躍するのがアー管、次いでエスクラ、バスクラ、吹奏楽で活躍するのはエスクラ、バスクラです。
ベー管を吹くことができればどのクラリネットも運指は基本的に同じですので、他も吹けるようになり、例えば「ベー管とバスクラ」「ベー管とバセットホルン」を持ち替えて演奏することが可能です。
ともあれ、まずはベー管でしっかり練習しましょう。
クラリネットは普段保管する専用ケースの中に、5つのパーツに分かれて入っています。
演奏するときはそのパーツを組み立てるという準備から始まるわけですが、その一番上の部分、口でくわえる部分を「マウスピース」と言います。
マウスピースは楽器を購入するときに標準装備されていますが、マウスピースだけ別売りで購入することができます。
安いのはヤマハのマウスピースで3,500円くらいから、ヴァンドレンというメーカーの一般的なもので13,000円前後、こだわりの品になると30,000円以上になったりします。
メーカーとして世界的に一番有名なのはフランスのヴァンドレン社のマウスピースです。
このメーカーのマウスピースならまず間違いないでしょう。
私はその中でも「5RVライヤー」もしくは「B40」をお勧めします。
最近日本でも発売された「BD5」も素晴らしいと思います。
マウスピースは個体差が非常に大きいので必ず吹いてみてから買ってください。
マウスピースはその材質、フェイシング等、無限大と言っても良いくらい色んな可能性があります。
私自身も本当のことを言うと「このマウスピースは絶対に良い」と思ったものに出会ったことがありません。
これまでたくさんのマウスピースを試しましたが、未だによくわかっていません。
現在私はオーストリアのニック・マイヤーのマウスピースを使用しています。
初めて手にしてから約40年経ちますが、今一番気に入っているマウスピースです。
私に習われる方はお好きなマウスピースでレッスンに来てください。
私は「このマウスピースでなければなりません。」というようなことは申しません。私自身未だに「もっとええのないかなぁ」と楽器屋さんに行っては試奏させてもらっていますので、今のあなたにとって楽しく演奏できるマウスピースを一緒に研究しましょう。
リードとは、クラリネットの発音体そのもので、見た目はカップアイスクリームを買った時にお店でもらえるスプーン代わりの「へら」と似ています。
このリードをマウスピースに装着し、振動させて音が出るという仕組みです。
材料は「ケーン(葦)」で、上質のフランス産のものが一般的によく使用されています。
代表的なメーカーはヴァンドレン、リコーなどがありますが、最近ではピーター・ロイトナー、アレキサンダー・ビルシャー、イシモリなどのものも人気があります。
ヴァンドレンはフランス、リコーはアメリカ、アレキサンダー・ビルシャーはドイツ、ピーター・ロイトナーはウィーン、イシモリは東京というように、各メーカーの国籍はバラバラですが、いずれも材料は南フランスのヴァール県あたりのものです。
これはあくまで噂ですが、10年くらい前に外国産のヴァンドレンの偽物が出回っていたそうです。
最近のヴァンドレンのリードが1枚ずつ裏側に番号が刻印されているのはその対策だそうです。
くれぐれもご注意ください。
リードは一般的には10枚1箱で売られていますが、楽器屋さんによっては1枚ずつ売ってくれるところもあります。1箱3,000円から4,000円です。
例えば私が講師をしている島村楽器では1枚単位で販売してもらえますが、リードは天然のものですから1枚1枚キャラクターが違い、当たり外れがあります。1箱で買っても1枚で買っても、値段の過不足はありませんから1枚ずつ買えば「当たり、当たり、当たり、、、」ということも期待できますが、「外れ、外れ、外れ、、、」もあり得るわけで、数学的には結局確率は同じかもしれませんが、私の経験上できれば1箱単位で買っていただいた方がいいと思います。
これは私の所見ですが、ヴァンドレンのリードは非常に良いリードが確かに入っていますが、「これはちょっと・・・ん?」と思うようなリードも入っているように思います。
それに対してリコーのリードはほぼ10枚均一な仕上がりになっていると思います。
ではヴァンドレンのリードはダメなのでしょうか。
実は私自身はずっとヴァンドレンのリードを使ってきました。
途中1年ほどリコーのリードを試したことがありとても気に入っていたのですが、私にとってはヴァンドレンのリード1箱のうちの2~3枚のとても素晴らしいリードの音が忘れられず、結局ヴァンドレンに戻しました。
これは決してリコーのリードが悪いという意味ではありません。
例えて言うならヴァンドレンのリードは1箱の中に2~3枚の100点満点のリードがあり(あるいはそれ以上)あとは60点合格点というイメージです。
一方リコーのリードは、1箱内全て80点から90点のリードが揃っていると思われます。
そういう訳で私はとても優秀なリコーのリードよりも、天才的な2~3枚のリードに賭けてみることにしたのです。
経済的な面から言うとリコーのリードの方が遥かに優秀だし良いと思います。
が、しかし、これはあくまでも私の主観ですので、皆さんはあまりこの記事に左右されませんように・・・。
ちなみに、私が敬愛して止まないジャズ・クラリネット奏者の北村英治さんはリコーのリードを使っておられます。
長々とリードについての話をしましたが、私は現在カナダのレジュールというプラスチックリードを使っています。
これについては大変話が長くなりますから、ご興味をお持ちの方は当教室の体験レッスンをお申込みください。
マウスピースにリードを装着するときに固定する器具のことを「リガチャー」と言います。
「絶対にこれが良い!」というリガチャーは残念ながらありません。
あえて言うならば究極のリガチャーは、あなたの親指です。
親指でリードを支えて一度楽器を吹いてみてください。素晴らしい音がするはずです。まあ、これは半分冗談ですが・・・
各メーカーはそれぞれいかにリードに不要なストレスを与えず振動を100%伝えるようにできるか、材質・形状などを工夫しています。
当然その材料や開発料、加工料によってその価格は変わってきますが、楽器を購入されたときに必ずリガチャーは付属品としてついてきますのでそれで充分だと思います。
私自身はロブナー社の1Rという、ロブナー社の製品の中でも一番安価な(3800円くらい)リガチャーを使っています。
このように書くとまるで私がリガチャーに興味のない人間のように思われるでしょうし、たしかに今現在の私の結論は「リガチャーは何でもいい」ですが、実は今までにほぼ全てのリガチャーを試してきたリガチャーマニアでした。
私は楽器を習い始めてからずっとクランポンのリガチャー(付属品)を使っていました。
なんの問題もなかったのですが、私と同い年のパスカル・モラゲスが19歳の時に大阪に来られその音と演奏にびっくりしその時に彼が使っていたリガチャー(ロブナー1R)をすぐに購入しました。
同じ音になると思い込んでおりました。今から考えたらアホな話です。それ以来、ほぼ全てのリガチャーを試しました。
リガチャーは金属製が一般的ですが、私のように合成皮革や革のリガチャーもお勧めです。
一概には言えませんがよりクリアな音を求める方は金属製、よりダークな音を求める方は合成皮革・革製のものを購入されると良いと思います。
代表的な金属製のリガチャーは、クランポン、セルマー、ヤマハなどがありますが、東京のイシモリ楽器から出ているウッドストーン(字のごとく石と森です)も最近とても人気があります。
実は私も気に入ってウッドストーンのゴールドを半年ほど使っていたのですが、当教室に通われている小学生の男の子にそれを試してみたらとても良くて結局プレゼントしてしまいました。
元々はリードを固定する方法として糸や紐が使用されていました。
現在でもドイツスタイルのマウスピースには紐で固定しやすいように溝が彫られています。
昔のドイツ人クラリネット奏者の多くはリードを紐で固定しており、私自身も試したことがあります。
とても均一に固定できてリードもよく振動してくれて良いのですが、いちいち巻くのが面倒くさい。
まあ、そういう理由からではないでしょうが、最近のドイツ系クラリネット奏者も私の知る限りリガチャーを使っている人が多いように思います。
世界で一番有名なヴァンドレン社も最近ではドイツ管モデルのためのリガチャーを作っているほどです。
私自身ロブナー1Rを使っていますが他に興味があるリガチャーとしてヴァンドレン社のオプティマム、ヴァンドレン社のMOリガチャー、ハリソン社のハリソンなどです。
特に最近私が注目しているのはシルバースタイン社のリガチャーです。
このリガチャーは先ほどの紐の原理を利用していて、すでに紐が編み込まれておりそれをマウスピースの上部にスクリューで止めるという画期的なアイデアを採用しています。
私が試した限りではほぼ紐と同様、あるいはそれ以上にリードの振動を妨げることなく、最初に冗談半分で書いた「親指リガチャー」にとても近いと思います。
素晴らしいリガチャーです。でも私は購入をためらっています。値段が高い!・・・高すぎる!!なんと4万円です。
結論としましては楽器購入時の付属リガチャーで充分です。
リガチャーにより、自分自身が吹いている音と、その音を聞いている第三者との間でその音色にどれだけの差異があるのか未だによくわかりません。
一度、二種類のリガチャーを用意して、自分の音を録音して聞いてみてください。
私はやってみましたがほとんど違いが判りませんでした。
リガチャーはあくまでも自分自身のこだわりの一品で良いと思います。
自分自身が納得するものを自分で試してみてください。決して先生や先輩の意見に従う必要はありません。
「見た目がかっこいい」「なんとなくしっくりくる」ものを選んでください。
財布の中身と相談しながら・・・
もう一度結論、付属品で充分です(しつこい!!)。
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